京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

ヒト多能性幹細胞の拡大培養法の簡便かつ低コスト化に成功  - 培養基質のコーティングを必要としない培養法を開発 -

宮崎隆道1)、磯部武久1)、中辻憲夫1)2)、末盛博文2)

1) 国立大学法人京都大学 物質-細胞統合システム拠点、2) 国立大学法人京都大学 ウイルス・再生医科学研究所)

“Efficient Adhesion Culture of Human Pluripotent Stem Cells Using Laminin Fragments in an Uncoated Manner”

Scientific Reports 7 Article number: 41165 (2017)    doi:10.1038/srep41165

概要

ヒト胚性幹(ES)細胞や人工多能性幹(iPS)細胞のような多能性幹細胞を創薬や細胞治療などに応用するには、非常に多くの数の細胞を生産する必要があります。これら多能性幹細胞を拡大維持するには、培養容器への多能性幹細胞の接着性を高め、生存性を向上させるのに適した培養基質を、容器内に予めコーティングしておく必要があります。

多能性幹細胞の維持培養に適した培養基質としては、ラミニン511の組換えタンパク質断片(商品名:iMatrix-511,ニッピ)、あるいはラミニン521やビトロネクチンが知られていますが、これら培養基質の容器へコーティングには通常、培養細胞を移し替える(以下、継体)直前に1時間から一晩、緩衝液に溶解させた状態で恒温処理する工程が必要とされます。この工程のため、多能性幹細胞の培養操作には時間と手間を要しました。

本成果では、培養基質の培養容器へのコーティング処理を不要とし、多能性幹細胞を継代する際に培養液にラミニン511断片溶液を添加するのみで、これまでと同様に安定した多能性幹細胞の接着培養が可能になることを見出しました。更には、ラミニン断片を添加法で利用する方が、従来のコーティング処理よりも少ない使用量で、多能性幹細胞の最大接着効果が得られることを見出しました。また、使用した培養基質の中、ラミニン断片のみが添加法で効率的に機能することを明らかにしています。

 

詳しい研究内容はこちらをご覧ください。
ヒト多能性幹細胞の拡大培養法の簡便かつ低コスト化に成功 (pdf)