京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

自己免疫性関節炎の発症・慢性化の原因となる炎症ネットワークメカニズムの解明

廣田 圭司1,3, 橋本 求2, 伊藤 能永1, 松浦 真由美1, 伊藤 宣2, 田中 真生2, 渡邊 仁美1, 近藤 玄1, 田中 淳3, 安田 圭子3, Manfred Kopf4, Alexandre Potocnik5, Brigitta Stockinger6, 坂口 教子3, 坂口 志文1,3

(1 京都大学ウイルス・再生医科学研究所、2 京都大学 医学部附属病院リウマチセンター、3 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター、4 スイス・チューリッヒ工科大学、 5 英国エジンバラ大学、  6 英国フランシス・クリック研究所)

“Autoimmune Th17 Cells Induced Synovial Stromal and Innate Lymphoid Cell Secretion of the Cytokine GM-CSF to Initiate and Augment Autoimmune Arthritis”

Immunity (2018), DOI: 10.1016/j.immuni.2018.04.009

<https://www.cell.com/immunity/fulltext/S1074-7613(18)30146-8>

 

概要

これまで関節リウマチの発症・慢性化に関わる要因について詳しくわかっておらず、新規治療法の開発のためには、これらの詳細な分子機構の理解が必要です。私たちは、関節リウマチの臨床検体とそのマウスモデルを用い、自己免疫性関節炎を引き起こす炎症性T細胞が、関節炎の発症および慢性化維持に関わる新たな仕組みを明らかにしました。インターロイキン-17を産生する炎症性T細胞が、関節滑膜組織において、滑膜細胞および新しく見出したGM-CSFを産生する自然リンパ球と炎症ネットワークを形成することで、関節炎の発症および増悪に寄与していました。現在の抗リウマチ薬に対して応答性が低い患者群が存在することから、本研究で得られた炎症ネットワークを標的とすることで、新しい免疫治療法の開発が期待できます。

 

図:本研究で得られた炎症のメカニズム

関節炎発症期には、Th17細胞の産生するIL-17が、滑膜細胞からの炎症性サイトカインとケモカインの産生に重要である。特にGM-CSFの産生が関節炎発症に大きな役割を果たす。

慢性炎症期では、Th17細胞、滑膜細胞、自然リンパ球による細胞間および、炎症性サイトカインによる炎症ネットワークの形成が関節破壊を引き起こす。