京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

世界の研究者が「注目する感染症」・「注意を払っていない感染症」の実態を解明

古瀬 祐気1,2

(1京都大学 ウイルス・再生医科学研究所システムウイルス学分野、2京都大学 白眉センター)

研究アクティビティの程度を疾病負荷に応じて解析することで、研究者が“注意を払っていない”感染症を明らかにした”

Proc Natl Acad Sci U S A (2018) doi: 10.1073/pnas.1814484116

 

概要

感染症はいまなお人類の公衆衛生上の重大な問題であり、特に新興・再興感染症の脅威は世界的にも増加しています。一方で、熱帯地方でのみ流行している一部の寄生虫感染症などに対しては十分な注意が払われていないと考えられており、「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Disease)」と呼ばれています。

本研究では、さまざまな感染症の世界的な疾病負荷とそれぞれの感染症に対する研究のアクティビティを調べることで、どの疾病が研究者から大きな注目を集めたり、あるいは注意を払われていないのかを解析しました。

その結果、インフルエンザ、エイズ、C型肝炎、結核は大きな注目を集めている一方、パラチフスに関する研究アクティビティは低いことがわかりました。興味深いことに、「顧みられない熱帯病」に対する研究アクティビティは、その疾病負荷を考慮すると、必ずしも低いわけではありませんでした。例えば、よく知られている「顧みられない熱帯病」であるシャーガス病、リーシュマニア症、ハンセン病に対しては、これらの疾患が流行している地域に加えて、流行地以外の国でも研究が盛んにされることで、十分な研究アクティビティが担保されていました。本研究の成果は、より適切な研究資源の配分、さらには効果的な感染症対策へとつながる重要な知見です。