京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

再生医療等安全確保法に基づく製造施設として許可を取得しました。

このたび、京都大学ウイルス・再生医科学研究所(以下「再生研」という。)胚性幹細胞分野に設置されたヒトES細胞用細胞処理施設(Cell Processing Facility、CPF)について、再生医療等安全性確保法に基づく特定細胞加工物製造施設(臨床用培養施設)としての許可を平成29年1月24日付けで厚生労働省より取得しました。

・ 再生研では、2003年に日本ではじめてヒトES細胞株の樹立に成功し、その後これまでにヒトES細胞株を5株樹立し、多数の使用研究機関に分配することによって、我が国の幹細胞研究に大きく貢献して参りました。
・ 世界的にはヒトES細胞を用いた治験が開始されており、安全性や有効性の確認が進められており、我が国においても臨床応用使用可能なヒトES細胞株の樹立が必要と考えられています。再生研では、これを実現するためヒトES細胞専用の細胞処理施設の設置、品質管理体系の構築、動物由来成分を排除した培養システムの技術開発を進めてきました。
・ 例えば、私達が共同研究により開発した細胞接着タンパク質であるラミニン断片は、再生医療に用いられるヒト多能性幹細胞の培養における培養基質として株式会社ニッピよりiMarixとして販売され、多くの研究者によって特に合成培地使用時の基質として広く使用されています。 (Nature Communications 13, 1236, 2012)
・ 2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法により、再生医療を提供する医療機関の外部に設置された臨床研究用の多能性幹細胞や分化細胞の製造を行う場合、その細胞培養加工施設は、再生医療等安全性確保法に定められた厳格な構造設備基準、製造及び品質管理の基準を遵守しているかについて施設ごとに特定細胞加工物製造の許可を取得することが必要です。このため再生研では臨床用ヒトES細胞株の樹立やストック作製を行うヒトES細胞用細胞処理施設について、本年 9月に管轄の近畿厚生局に製造の許可申請を行いました。その後11月に医薬品医療機器総合機構(PMDA)の施設調査により本培養施設の基準への適合性が確認され、このほど近畿厚生局より製造許可証の交付を受けました。再生医療等安全性確保法に基づく臨床用ヒトES細胞株の樹立施設の許可は国内で初めてとみられます。
・ 特定細胞加工物製造施設としてヒトES細胞株の樹立とストック作成に使用される再生研CPFの概要は以下の図のようになっています。
・ 再生研では、今回の製造許可書の交付に引き続き、臨床利用が可能なヒトES細胞株の樹立とそのストックの製造に向けて取り組んで参ります。
・ 今後、ヒトES細胞の樹立に関する指針に基づき、再生研および提供医療機関の倫理委員会の審査手続きをへて、文部科学大臣および厚生労働大臣による樹立研究計画の確認申請を行います。

本事業は国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 (Japan Agency for Medical Research and Development: AMED)の「再生医療実用化研究事業」の支援によって実施されています。

ヒトES細胞由来細胞を用いた Clinical trial の状況についてはこちらをご覧ください。

【臨床用ヒトES細胞樹立プロジェクト】について
臨床用ヒトES細胞株の樹立は「ヒトES細胞の樹立に関する指針」に基づいて樹立研究計画を作成し、樹立機関(再生研)や受精胚の提供医療機関の倫理審査を受けた後、文部科学省と厚生労働省の審査により各大臣から指針への適合性の確認を受ける必要があります。
このES細胞樹立研究計画は再生研 胚性幹細胞分野の末盛博文が責任者となり実施しています。このような倫理的な妥当性の確認とは別に、臨床利用を行う上での安全性確保への対応も非常に重要で有り、そのために再生研ではヒトES細胞培養加工施設(CPF)を整備し臨床用ヒトES細胞株樹立への準備を進めてきました。本CPFは川瀬栄八郎が施設責任者として主にES細胞の品質管理を担当しています。培養工程などの製造管理やそれに関わる設備、文書体系の整備は高田圭が主に担当しています。
今回、このCPFが再生医療等安全性確保法に基づく細胞培養加工施設の許可を受けました。

<用語説明>
注1:再生医療等安全性確保法
再生医療等の安全な提供等を図るため、細胞の製造や臨床現場への提供の際に必要な審査制度を定めた法律。
注2:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行うことを通じて、国民保健の向上に取り組む機関

<問い合わせ>
臨床用ヒトES細胞樹立研究責任者:
京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 胚性幹細胞分野
准教授 末盛 博文 (hsuemori@frontier.kyoto-u.ac.jp)
Phone:075-751-3821, Fax:075-751-3890