京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

第 1262回 成人T細胞白血病治療標的としての  マトリセルラー分子の意義

日時: 2017年3月3日(金)17:00-18:00
場所: ウイルス再生研3号館 (旧再生研東館) 5F ルーフテラスセミナー室
演者: 前田 直良 博士 (北海道大学 薬学研究院 創薬科学研究教育センター バイオ医薬学部門 特任准教授)
演題: 成人T細胞白血病治療標的としてのマトリセルラー分子の意義

講演要旨

がん細胞浸潤・転移やがん微小環境の構築に関与するマトリセルラー分子オステオポンチン(OPN)は、成人T細胞白血病(ATL)患者血漿中で産生量が亢進していることから、ATL病態との関連性が示唆されていた。ATL患者由来組織の免疫染色では、腫瘍以外でもCD68陽性マクロファージやFAP陽性線維芽細胞でOPNの発現が認められた。一方、OPNの受容体として機能するインテグリンの中でも、インテグリンαvβ3はATL細胞株やATL患者由来新鮮リンパ球で低く、その一方でインテグリンα4β1、α9β1の発現が高いことを確認した。NOGマウスを用いたATL細胞移植モデルでは、ATL細胞の転移に伴い、血漿中のマウスOPN産生亢進が認められた。抗OPN抗体を投与した結果、原発巣形成の抑制や転移細胞数の減少が観察された。本研究により、腫瘍細胞上のインテグリンα4β1/α9β1と宿主間質細胞由来OPNの相互作用は、ATL治療法の有効な分子標的となる可能性が示唆された。本セミナーでは、マトリセルラー分子やそのシグナル伝達経路を標的としたモノクローナル抗体や低分子化合物による新規ATL制御法の可能性について議論したい。

主催 京都大学ウイルス・再生医科学研究所
連絡先 生命システム研究部門 システムウイルス学分野 小柳義夫(TEL: 751-4811)