京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

第1276回 シマカゲノム中の内在性フラビウイルス配列の解析とウイルス媒介能への関与の可能性

日時: 2017年10月23日 (月) 10:00〜11:00
場所: 京都大学ウイルス再生研2号館(旧ウイルス研本館)1階セミナー室
演者: 鈴木 康嗣 博士 (Department of virology, Viruses and RNAi unit, Institut Pasteur, France)
演題: シマカゲノム中の内在性フラビウイルス配列の解析とウイルス媒介能への関与の可能性

講演要旨

近年のバイオインフォマティクスの発展とともに 哺乳類だけでなく節足動物など様々な生物種における内在性ウイルス配列の存在が明らかになってきている。シマカは、デングやジカウイルスなど多くのウイルスを媒介する医学的にも非常に重要な節足動物の一つである。2004年に初めてシマカ由来の細胞株から実験的に4つの内在性フラビウイルス様配列(endogenous flaviviral element, EFVE)が同定された。しかしながら、蚊個体を用いた詳細な解析はこれまでに行われてこなかった。我々はフィールドから採取したネッタイシマカとヒトスジシマカ個体を用いて、そのEFVEの解析を行った。地理的に異なる全てのフィールド試料からEFVE DNA及びRNAが検出されたが、そのタンパク質は検出されなかった。次世代シーケンス解析により、EFVEはシマカゲノム中の繰り返し配列の中に組み込まれており、EFVEマイナス鎖由来のpiRNAが産生されていることが明らかになった。またベトナムで採取されたヒトスジシマカから数種の新たなEFVEを同定したが、それらのEFVE DNAの検出ではそのフィールド、細胞株試料間において差異がみられた。これらの結果は、シマカゲノム中の内在性フラビウイルス配列の多様性を示すとともに、その機能解明に重要な知見となるものである。本セミナーでは、以上の結果を示すとともに内在性フラビウイルス配列がシマカのウイルス媒介能に関与する可能性を議論したい。

主催 京都大学ウイルス・再生医科学研究所
連絡先 システムウイルス学分野  小柳 義夫 (Tel:751-4813)