京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

2018年・2019年ナイジェリアにおけるラッサ熱流行に関する報告

Elsie A Ilori1、古瀬 祐気2,3,4、Chioma C Dan-Nwafor1、Oladipupo Ipadeola5、Chikwe Ihekweazu1

(1 ナイジェリア疾病対策センター、2 京都大学 ウイルス・再生医科学研究所システムウイルス学分野、3 京都大学 白眉センター、4 世界保健機関、5 アメリカ疾病予防管理センター)

 

#1.ナイジェリアにおける2018年ラッサ熱流行の疫学・臨床学的特徴
#2.ナイジェリアにおける2019年ラッサ熱流行の現状と対策

#1 Emerging Infectious Diseases (2019) doi.org/10.3201/eid2506.181035
#2 Eurosurveillance (2019) doi.org/10.2807/1560-7917.ES.2019.24.20.1900272

概要

ラッサ熱はウイルス性出血熱を引き起こす感染症で、その高い致死率から流行地域である西アフリカでは大きな問題となっています。特に、2018年および2019年にはナイジェリアで大規模な流行が起こりました。京都大学ウイルス・再生医科学研究所の古瀬祐気特定助教は、世界保健機関(WHO)より要請を受け、感染症コンサルタントとしてナイジェリアに派遣され対策活動に従事しました。そして今回、現地の公衆衛生担当者と協力して疫学的特徴などをまとめた2件の成果を論文として発表しました。

2018年の流行は歴史上もっとも規模の大きいラッサ熱の流行で、600人以上が感染し150人以上が死亡しました。1つめの論文(#1)では、この流行の際に得られたデータを解析することで、感染の時間的・空間的ひろがりを明らかにするとともに、本流行における特徴的な臨床症状や、罹患の危険因子、さらに治療の有効性などを明らかにしました。2019年の流行に関する2つめの論文(#2)では、2018年の流行を超える勢いで感染が拡大しており、これに対してナイジェリア当局がどのような活動を行い制圧を試みているかについて報告しました。
本成果は、ナイジェリアにおけるラッサ熱流行の現状やインパクトを世界に対して報告すると同時に、さらなる対策の重要性を訴求した重要な知見です。

 

図.担当行政長官とディスカッションをする古瀬特定助教