京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

アレナウイルスZ蛋白の自己重合を検出するFRETバイオセンサーの開発と、それを利用した抗ウイルス薬スクリーニング法の確立

水谷龍明1,2、大場雄介3、水田賢志4、安田二郎5,6、浦田秀造5,6(1京都大学ウイルス・再生医科学研究所細胞制御分野、2京都大学生命科学研究科高次細胞制御学分野、3北海道大学大学院医学研究院・医学院細胞生理学、4長崎大学大学院医歯薬学総合研究科、5長崎大学熱帯医学研究所新興感染症分野、6長崎大学感染症共同研究拠点)

An antiviral drug screening platform with a FRET biosensor for measurement of arenavirus Z assembly

Cell Structure and Function (2020) https://doi.org/10.1247/csf.20030

概要

私たちは、今回、ラッサ熱の原因ウイルスであるラッサウイルスに対する抗ウイルス薬創出に向けた新たな技術基盤を開発しました。アレナウイルスに属するラッサウイルスは、「Z」と呼ばれるウイルス膜を形作るタンパク質をコードします。ウイルス感染細胞において、「Z」は自然に自己重合し多量体を形成し、ウイルス膜を形作る骨格として働きます。これまでの研究から、この「Z」の自己重合が、ウイルスの増殖に重要なイベントであることがわかっていました。そこで私たちは、この「Z」の自己重合と蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理を利用し、重合化した「Z」を高感度に検出することができるバイオセンサー ”Zabton“(Z assembly built on FRET)を開発しました(図)。さらに、Zabtonを用いた化合物スクリーニングから、アレナウイルスのプロトタイプであるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)の増殖を抑制する化合物を同定し、Zabtonの有用性を実証しました。本手法は、抗アレナウイルス薬の開発基盤として期待されます。