京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

COVID-19重症患者受入医療機関従事者に対するラジオリガンドアッセイを用いたSARS-CoV-2抗体の検出

松永秀典1牧野晶子2,3、加藤保宏4、村上輝明4、山口勇太4、熊ノ郷 淳4、大場 雄一郎1、藤見 聡1、本田知之5、朝長啓造2,3,6

(1大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター、2京都大学ウイルス・再生医科学研究所RNAウイルス分野、3京都大学大学院生命科学研究科生体動態制御学分野、4大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫内科学、5岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科病原ウイルス学、6京都大学大学院医学研究科分子ウイルス学分野)

Radioligand Assay-Based Detection of Antibodies against SARS-CoV-2 in Hospital Workers Treating Patients with Severe COVID-19 in Japan
Viruses (2021) 13(2):347. doi: 10.3390/v13020347.

概要

本研究は、COVID-19重症患者受入医療機関の医療従事者におけるSARS-CoV-2感染状況を把握するために、ラジオリガンドアッセイ(RLA)法を用いて抗体の検出を行ったものである。病院のスタッフの採取した血清1,000検体を、RLAを用いてSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)IgGを検出した。入院治療を受けて既に回復したCOVID-19患者を対照とし、10年以上前に得られていた186検体の血液提供者を陰性対照とした。1,000検体のうち4検体は明らかに陽性の結果を示し、約10検体以上はわずかに高値を示した。興味深いことに、過去の血液検体の中には、わずかに高い値を示すものもあった。また、ELISA、中和抗体検査ならびに化学発光イムノアッセイ(CLIA)とも高い相関を示し、RLAの有用性が示された。今回の研究では、日本でパンデミックが始まってから5カ月後、三次救急医療施設を有する総合病院のスタッフのSARS-CoV-2に対する抗体の血清有病率が極めて低いことが明らかになった。わずかに高値を示した検体が他のコロナウイルスに対する抗体との交差反応によるものなのか、抗SARS-CoV-2抗体の力価が低かったためなのかについては今後の調査が必要である。定量的なRLAは低力価の抗体を検出するのに十分な感度があると考えられた。