京都大学 ウイルス・再生医科学研究所

制御性T細胞の発生に不可欠な非コードDNA領域の同定

川上竜司1,3、北川瑶子1,3、Kelvin Y Chen3、荒井真也3、小原乃也2、中村やまみ3、安田圭子1,3、大崎一直1,3、三上統久1,3、Caleb A Lareau4、渡邊仁美2、近藤玄2、廣田圭司2、大倉永也3、坂口志文1,3

(1京都大学ウイルス・再生医科学研究所生体再建学分野、2京都大学ウイルス・再生医科学研究所統合生体プロセス分野、3大阪大学免疫学フロンティア研究センター実験免疫学教室、4 Departments of Genetics and Pathology, Stanford university)

Distinct Foxp3 enhancer elements coordinate development, maintenance and function of regulatory T cells

Immunity (2021) doi.org/10.1016/j.immuni.2021.04.005

概要

制御性T細胞(Treg細胞)は、免疫応答にブレーキをかける機能に特化したヘルパーT細胞サブセットです。自己免疫疾患の防止、免疫応答の終息、傷ついた組織の修復など、多様な場面で生体の恒常性を保つために重要な働きをしていますが、その分化メカニズムは不明な点が多く残されています。

本研究では制御性T細胞の分化メカニズムを詳細に明らかとするため、マウス胸腺でT細胞に分化する途中の未熟な細胞から制御性T細胞に分化するまでに活性化するDNA領域を調査しました。その結果、タンパク質の設計図情報を持っていない非コードDNA領域の中から、制御性T細胞(Treg細胞)の発生に不可欠なDNA領域を同定しました。このDNA領域は、制御性T細胞のマスター転写因子Foxp3遺伝子周辺に2ヶ所に分かれて存在するConserved Non-coding Sequence (CNS)-0, CNS3と呼ばれる領域です。これらを欠損したマウスは正常な制御性T細胞分化が阻害され、深刻な自己免疫疾患を発症しました。

本研究で免疫寛容における非コードDNA領域の重要性が明らかとなったことにより、制御性T細胞の発生や機能をコントロールする免疫疾患治療法の開発が期待されます。

本研究は、大阪大学、スタンフォード大学との共同研究の成果です。詳細は下記プレスリリース記事もご参照ください。

http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/20210506-1000.htm

図. 非コードDNA領域 CNS0とCNS3エンハンサーを介したFoxp3遺伝子の発現制御により生体は免疫寛容を保っている