研究分野
正常組織とがんにおける幹細胞運命制御のメカニズムを理解する
私たちの研究室では、幹細胞の運命制御のしくみを明らかにすることを目標にしています。幹細胞は、多分化能を保持しながら増殖できる「自己複製能」を持つ特殊な細胞で、多細胞生物の成体においては常に新しい前駆・成熟細胞を供給することで組織恒常性の維持に寄与しています。幹細胞に限らず、細胞分裂によって生じた新たな2つの細胞は同一あるいは異なる細胞運命を辿ることができますが、多分化能をもつ幹細胞の分裂においては、幹細胞を増やすかあるいは特定の細胞系譜へと分化するかを決定づけるとても重要なプロセスです。一方、がん組織にも自己複製能と分化能が異なる複数種のがん細胞が存在し、正常組織に類似した階層性を持つことがわかってきました。中でも、自己複製能を持つ「がん幹細胞」は、治療抵抗性や病期進行、転移、再発に関与するので有効な治療標的になります。すなわち、幹細胞運命を制御するしくみを分子レベルで理解することは、健康長寿とがんの生物学の双方の分野において重要であり、私たちは代謝・RNA結合タンパクを切り口として、造血と骨格筋組織における幹細胞システムの作動原理の解明に取り組んでいます。
正常組織とがん組織における幹細胞システム
私たちは、多細胞生物の正常組織とがんにおける幹細胞運命制御のしくみを明らかにする研究をおこなっています。