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2019年11月20日
第1311回ジャポニカス分裂酵母に見つかった36時間の転写変動周期を持つ温度応答
日時: 2019年11月20日 (水)15:00~16:30
場所: 京都大学 ウイルス再生研 2号館(旧ウイルス研本館) 1階セミナー室(104号室)
演者: 仁木 宏典 博士
  国立遺伝学研究所 遺伝形質研究系 微生物機能研究室
  教授
演題: ジャポニカス分裂酵母に見つかった36時間の転写変動周期を持つ温度応答

講演要旨

生物は光や温度の日変化に大きく影響を受ける。真菌類もその例外ではなく、光や温度により概日リズムが同期されることが知られている。アカパンカビでは青色光によりWC-1、WC-2から成る光受容型転写因子が活性化され、その下流の時計遺伝子が制御されている。しかし、温度による制御については未だ不明である。他方、概日リズムは持たないものの光や温度に応答する真菌も存在する。分裂酵母の一種であるSchizosaccharomyces japonicusは光また温度の刺激により同調的な細胞分裂を起こす(Okamoto et al., 2013)。この分裂酵母はWC-1、WC-2のホモログを持っており、それが光応答を司っていた。他方、温度応答には新規の遺伝子が関与していた。trj1と名付けた遺伝子はアカパンカビには保存されていないが、200を超える真菌類のゲノムに見出される。温度刺激後のtrj1遺伝子の発現パターンを測定したところ、そのmRNA量は温度シフト後18時間をかけて増加しピークに達した後には減少し始め18時間をかけて元に戻る。この36時間に渡るmRNAの変動は温度補償性を持っており、trj1遺伝子の発現パターン自体が時計的な役割を持っている。自然界では、明け方に温度は下降から上昇に転じる。この温度の日変化で作動するタイマーとして、trj1遺伝子は機能していると考えられる。

(言語:日本語 Language: Japanese)

 

 

主 催 京都大学ウイルス・再生医科学研究所
連絡先 生体膜システム分野秋山 芳展

(TEL:075-751-4040)