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2019年07月30日
3Dイメージングによる骨格筋幹細胞の血管ニッチの解析と筋再生の分子機構
日時: 2019年7月30日 (火)15:30~17:00
場所: 京都大学ウイルス再生研1号館 1階セミナー室 3
演者: 朝倉 淳 先生
Associate Professor
Stem Cell Institute
Paul & Sheila Wellstone Muscular
Dystrophy Center ,
Department of Neurology
University of Minnesota Medical School
演題: 3Dイメージングによる骨格筋幹細胞の血管ニッチの解析と筋再生の分子機構

講演要旨

骨格筋の幹細胞であるサテライト細胞は、生後の筋肉の成長・再生に関与している。我々は、組織透明化技術を用いてマウスの骨格筋を3次元画像として解析することに成功し、骨格筋中で毛細血管がサテライト細胞に近接して存在しており血管ニッチを形成していることを明らかにした。血管ニッチの形成は サテライト細胞由来のVEGFが重要であり、我々は、血管ニッチからのNotchの活性化シグナルによってサテライト細胞の幹細胞維持が行われていることを明らかにした。また我々はこれまでPluripotent細胞から骨格筋幹細胞を誘導する方法について解析を行ってきた。今回我々は、新たな転写因子bHLH型転写因子ASCL4がES細胞を骨格筋幹細胞に誘導する能力があることを見出した。また、サーカディアンリズムはマスター時計遺伝子であるBmal1/Clockを中心とした転写のフィードバックループを形成することによって生じ、単離した細胞も生体と同様に24時間のリズムを刻んでいる。我々は、夜間に骨格筋再生を誘導した方が日中よりも迅速に再生し繊維化も減少することをマウスの実験から見出した。サテライト細胞はマスター時計遺伝子Bmal1とその負の調節因子Per2を24時間周期で発現しており、MyoDおよびASCL4も24時間周期で発現していた。ASCL4のノックアウトマウスではMyoDの周期的発現の消失により筋再生に異常をきたしていた。以上の結果は、サーカディアンリズムによってサテライト細胞の筋分化・自己複製および筋再生が調節されていることを示唆している。

(言語:日本語 Language: Japanese)

主催 京都大学ウイルス・再生医科学研究所
世話人 再生免疫学分野 (瀬原) (TEL:075-751-3826)