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2019年06月19日
ウイルス研究の潮流シリーズセミナー:フラビウイルス科ウイルスの指向性と進化に関する研究
日時: 2019年6月19日 (水)16:00~17:30
場所: 京都大学ウイルス再生研2号館 (旧ウイルス研本館)1階セミナー室   
演者: 福原 崇介 先生 (大阪大学微生物病研究所 分子ウイルス分野 准教授)
演題: フラビウイルス科ウイルスの指向性と進化に関する研究

講演要旨

C型肝炎ウイルス (HCV) は肝臓に強い親和性を示す。ウイルスRNAの翻訳や複製に肝臓特異的なマイクロRNAであるmiR-122が、粒子産生にはApolipoprotein B (ApoB) やApoEが関与することが報告されているが、その分子機構は不明な点が多い。これまでに、miR-122やApoB、ApoE、リポ蛋白質受容体のノックアウトHuh7細胞を樹立し、HCV感染における役割と感染指向性への関与を明らかにし報告した(J Virol 2012, PLoS Pathog 2014, 2016)。また、アポリポ蛋白質の両親媒性アルファーヘリックスがC型肝炎ウイルス(HCV)の感染性粒子形成に重要であることを示したが、HCVと同じくフラビウイルス科に属する、フラビウイルスのNS1蛋白質やペスチウイルスのErns蛋白質は、アポリポ蛋白質と同様の膜結合性分泌性糖蛋白質である。これまでの解析から、宿主由来のアポリポ蛋白質とNS1およびErnsが感染性粒子産生において同様の機能を持つことを明らかにした(PLoS Pathog 2017)。HCVはErnsやNS1に対応する分泌性のウイルス蛋白質をコードしていない。HCVがアポリポ蛋白質を高発現している肝臓に馴化する過程で、分泌性のウイルス蛋白質が不要となり、自ら欠失した可能性が考えられる。現在は、フラビウイルスのNS1蛋白質の解析を詳細に進めており、それらの結果も含めて発表させていただきたい。

(言語:日本語 Language: Japanese)

主催 京都大学ウイルス・再生医科学研究所
世話人 RNAウイルス分野 朝長 啓造(TEL:075-751-4034)