2019年05月20日 理論生物学セミナー |
日時: | 2019年5月20日 (月)13:30~ |
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場所: | 京都大学ウイルス再生研2号館 (旧ウイルス研本館)数理生物学分野セミナー室(107) |
演者: | 小松 弘和 先生 (京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 数理生物学分野) |
演題: | 部分系への分解に基づく化学反応ネットワークの解析理論 |
講演要旨
Feinberg等によって構築された「化学反応ネットワーク理論」は,化学反応に関与する物質間の相互作用を記述するネットワークの幾何学的構造を基に,反応が動的平衡状態に収束することを保証する定理を与えている.これは 「Deficiency Zero Theorem (DZT)」と呼ばれ,ネットワークがweakly reversible(ネットワークを表わすグラフの各連結成分が強連結)で,かつdeficiency という指標の値が零であれば,平衡状態の安定性が保証されるという強力な定理である.
しかし,代謝ネットワーク等の生化学反応ネットワークの多くは DZT の条件を満たさないことが知られており,そのような化学反応ネットワークに対する一般的な解析手法の構築は重要な課題である.報告者は,DZTの条件の一つであるweak reversibilityを満たさないネットワークの或るクラスを対象とし,ネットワークをweakly reversibleな部分系に分解して解析することにより,化学反応ネットワーク全体が平衡状態に収束することを証明する解析手法を提案した.
本報告では,この提案手法を紹介するとともに,weak reversibilityでないネットワークの広いクラスに本手法が有効であることを議論する.
(言語:日本語 Language: Japanese)
主催 | 京都大学ウイルス・再生医科学研究所 |
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世話人 | 数理生物学分野 望月 敦史(TEL:075-751-4612) |