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2018年11月16日
第1293回 二本鎖RNAウイルスと巨大ウイルスの構造とその進化
日時: 2018年11月16日 16:00~17:30
場所: 京都大学 ウイルス再生研2号館 (旧ウイルス研本館)1階 セミナー室
演者: 岡本 健太  博士 ( ウプサラ大学バイオメディカルセンター 生物物理学教室 研究員)
演題: 二本鎖RNAウイルスと巨大ウイルスの構造とその進化

講演要旨

クライオ電子顕微鏡やX線レーザーを用いた単粒子解析を軸とした、ウイルス粒子の構造解析をテーマに研究を進めている。本講演では、二本鎖RNAウイルスと巨大ウイルスの新規構造を報告し、その機能的な構造獲得について報告する。
講演の前半では、二本鎖RNAウイルスを取り上げ、その感染機構や遺伝子複製機構に関わる構造獲得について議論したい。酵母や原生動物のような単細胞生物 (unicellular organisms) に感染するウイルスは、細胞内に留まり、宿主の頻繁な細胞分裂や細胞融合の際に、別の細胞に感染する (intracellular transmission)。一方で、多細胞生物 (multicellular organisms) に感染するウイルスは、細胞内に留まるだけでは効率よく増殖できないため、細胞外に粒子を放出し、再度侵入する感染機構を有するようになった(extracellular transmission)。そのため二本鎖RNAウイルスは、細胞外と細胞内の生活環に適応するために、多彩な機能的な構造をカプシド表面に獲得してきたと考えられる。
講演の後半では、巨大なカプシドを持つメルボルンウイルスと永久凍土で発見された世界で最も巨大なウイルスであるピソウイルスの構造について報告する。これらの巨大ウイルスは、第4の生物ドメインと呼ばれるに相応しく、細菌のようで、真核生物のようで、そしてウイルスのような不思議な特徴を持っていた。今回の講演を通して、巨大な粒子構造がどのように獲得されてきたか、巨大な粒子に何を取り込んでいるか、なぜ巨大な粒子を持つ必要があるのか、という疑問点にも触れていきたい。

(言語:日本語 / Language:Japanese)

 

 

主 催 京都大学ウイルス・再生医科学研究所
連絡先 微細構造ウイルス学分野 野田 岳志(TEL:075-751-4020)