2025年4月14日 【2nd mechanosensory physiology seminar】ARDSにおける食道バルーンから測定されるLung stressにおける現技術の限界点および今後の展望 |
日時: | 2025年4月14日(月)11:00~12:00 |
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場所: | 医生研2号館 2階セミナー室(211室) |
演者: | 前澤貴先生 大阪大学 医学系研究科 生体統御医学講座麻酔集中治療医学教室 |
演題: | ARDSにおける食道バルーンから測定されるLung stressにおける現技術の限界点および今後の展望 |
講演要旨
ARDS(Acute Respiratory Distress Syndrome, 急性呼吸促迫症候群)とは病態学的、背形態学的に不均⼀、
異質な疾患であり酸素化の低下により⼈⼯呼吸器管理を必要とする。このため⼈⼯呼吸器の圧を適切に
設定する必要がある。⼈⼯呼吸器で表⽰される圧は実際に肺を膨らませる圧⼒である Lung stress とは異
なる。Lung stress は気道内圧と胸膜圧の差で表される。現在の臨床ではこの胸膜圧を⾷道バルーンから
測定される⾷道内圧で代⽤することで評価を⾏っている。
しかし、⾷道バルーンから測定される Lung stress は⾷道バルーンと同じ⾼さの値しかわからない。
過去の動物実験でも同じ肺野内でも炎症のactivity が違うということが⽰されている(Kiss, et al, CCM, 2019)。
しかし現技術では、全肺野の Lung stress を算出することは難しい。Lung stress mapping 法という考え⽅は、
⾷道バルーンと CT(左図)を組み合わせることで構築される新しい考え⽅である。
Lung stress mapping 法により ARDS 患者の CT と⾷道内圧を組み合わせることで、全肺野のLung stressが計算でき、
カラーリングを⾏うことでLung stress の値に応じて可視化することができる。
最近の我々の研究によりLung stress mapping法の妥当性が確認された。
この考え⽅は今後のARDS の⼈⼯呼吸器管理において重要性を増していくと考えられる。
Host:
医生物学研究所 メカノセンシング生理学分野
野々村 恵子 Keiko Nonomura(nonomura_keiko[@]infront.kyoto-u.ac.jp)