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2025年5月1日
ボルナ病ウイルス2は重複感染によって遺伝的多様性を維持することを解明

Takehiro Kanda, Pauline Dianne Santos, Dirk Höper, Martin Beer, Dennis Rubbenstroth, Keizo Tomonaga

Borna disease virus 2 maintains genomic polymorphisms by superinfection in persistently infected cells

npj Viruses (2025) doi: 10.1038/s44298-025-00117-w.

概要

神田雄大 医生物学研究所助教、朝長啓造 同教授らの研究グループは、ボルナ病ウイルス2(BoDV-2)のゲノム情報を解析し、ウイルスのRNAポリメラーゼ遺伝子に複数の1塩基多型が存在することを発見しました。
多くのウイルスではウイルスの増殖に不利な表現型は淘汰され、有利な表現型のみが生き残りますが、BoDV-2は複数の表現型のウイルスが一つの細胞に重複感染(superinfection)することで、複数の表現型のウイルスが集団で生き残ることを明らかにしました。
これは、BoDV-2が特定の環境に適した表現型を選抜するのではなく、様々な環境に適応できるように集団として生き残る戦略を採用している可能性を示唆しており、ウイルスと宿主の共進化を紐解く手掛かりになることが期待されます。