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2026年3月31日
自己免疫性関節炎における炎症性T細胞の病原性機能獲得メカニズムを解明

竹内悠介1,2、小原乃也1,3、 渡邊仁美1、西村有史4、岩崎毅5,6、堀昌平7、河本宏4、加藤博己8、近藤玄1、森信暁雄2、三森経世2,9、廣田圭司1

(1.京都大学医生物学研究所統合生体プロセス分野、2.京都大学大学院医学研究科臨床免疫学、3.京都大学白眉センター、4.京都大学医生物学研究所再生免疫学分野、5.The Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME, USA、6.京都大学大学院医学研究科附属医学ゲノムセンター、7.東京大学大学院薬学系研究科 免疫・微生物学、8.Institute of Cardiovascular Immunology, Medical Faculty, University Hospital Bonn, University of Bonn, Germany、9.たけだ膠原病リウマチクリニック)

Tissue-restricted secondary TCR engagement drives the transition from stem-like to CD200+ Egr2hi arthritogenic Th17 cells

Nature Immunology (2026)  https://doi.org/10.1038/s41590-026-02447-0

 

京都大学ホームページ
自己免疫性関節炎における炎症性T細胞の病原性機能獲得メカニズムを解明
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-03-24

概要

炎症性T細胞は、関節炎の慢性化に重要な役割を果たします。しかし、炎症関節におけるT細胞の機能的多様性や病原性を獲得する仕組みは十分に解明されていませんでした。

今回研究グループは、T細胞依存的に慢性的な関節炎を発症する疾患モデルマウスを用い、シングルセルRNAおよびT細胞受容体(TCR)シーケンス解析により、関節に浸潤する炎症性T細胞の分化過程と炎症を悪化させる機能について包括的に検討しました。その結果、関節に浸潤するT細胞が幹細胞様状態から病原性状態へと段階的に分化するために必要な転写因子を同定し、関節内での細胞分化が関節炎の増悪化に関わることを明らかにしました。

さらに、病原性T細胞への分化は炎症環境によって一律に誘導されるのではなく、炎症関節内の自己抗原認識に伴う強いTCR刺激を必要とする選択的な過程であることを示しました。本成果は、炎症組織におけるTCRシグナル強度が、T細胞の機能的分化および病原性獲得を規定する重要な要因であることを示す新たな知見です。自己免疫疾患におけるT細胞の分化制御機構の理解を深めるとともに、それらを標的とした新規治療標的創出の基盤となることが期待されます。

本研究成果は、2026年3月23日に、国際学術誌「Nature Immunology」にオンライン掲載されました。