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再生免疫学分野

DEPARTMENT OF Regeneration Science and EngineeringLAB. OF Immunology

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メッセージ

T細胞を知る、創る
造血においては多能造血幹細胞から順次分化能が限定されていき、いろいろの系列の単能前駆細胞が生成する。我々の研究室は、この分化能限定過程において、前駆細胞の運命を振り分ける分子機構を解析することを目指している。造血過程の全体を研究対象としているが、中でもT細胞に至る過程に比重を置いて研究を進めている。最近は血液細胞の進化的起源に迫る研究も進めている。
一方、iPS細胞/ES細胞から再生したT細胞を用いたがんの治療法の開発研究も進めており、急性骨髄性白血病を対象にした臨床試験に向けて準備を進めている。またこの方法はウイルス感染症の治療法にも使える事から、COVID-19の治療や造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス再活性化への応用も進めている。

再生免疫学分野
河本 宏

教授 Professor河本 宏 Hiroshi Kawamoto

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准教授 Associate Professor
宮崎 正輝 Masaki Miyazaki

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特定准教授 Program-Specific Associate Professor
河岡 慎平 Shinpei Kawaoka

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助教 Assistant Professor
永野 誠治 Seiji Nagano

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特定助教 Program-Specific Assistant Professor
上堀 淳二 Junji Uehori

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特定助教 Program-Specific Assistant Professor
小林 由佳 Yuka Kobayashi

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特定助教 Program-Specific Assistant Professor
小西 理予 Riyo Konishi

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研究分野

血液細胞の分化過程の解明と再生T細胞を用いた細胞療法の開発

造血においては多能造血幹細胞から順次分化能が限定されていき、いろいろな系列の単能前駆細胞が生成する。我々の研究室が目標としていることは、この分化能限定過程において、前駆細胞の運命を振り分ける分子機構を解析することである。造血過程の全体を研究対象としているが、中でもT細胞に至る過程に比重を置いて研究を進めている。
一方、基礎研究から得られた情報や、開発した培養法を応用に活かす研究も進めている。最近主に力を入れているのは、iPS細胞あるいはES細胞から作製したT細胞をがんや感染症を対象にした細胞療法に用いるというアプローチである。CAR-T療法やTCR遺伝子導入療法などの養子免疫療法は有効性が示されている一方で、自家移植の系で行われているため、高くつく、時間がかかる、患者のT細胞の質に依存するので不安定、などの問題点があった。これらの障壁を乗り越えるために、我々は上記のiPS/ES細胞を用いる戦略を進めている。抗原特異的T細胞からiPS細胞を作製する(T-iPS細胞)と、T-iPS細胞には再構成されたT細胞レセプター(TCR)遺伝子が受け継がれているので、再分化誘導した時には、元のT細胞と同じ特異性をもつT細胞が再生する。このアイデアに基づいて、我々はがん抗原特異的CD8T細胞の再生に成功し(Cell Stem Cell, 2013)、その後より高品質なCD8αβ発現CTLの再生に成功した(Cancer Research, 2016)。臨床応用に向けては、特定のTCR遺伝子をiPS細胞に導入する方法(TCR-iPS細胞法)を考えている(Mol Ther Methods Clin Dev, 2020)。現在、この方法を用いて再生したT細胞による急性骨髄性白血病治療法の臨床試験に向けて開発研究を進めている。またこの方法はウイルス感染症の治療法にも使える事から、COVID-19の治療や造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス再活性化への応用研究も進めている。

血液細胞は食細胞を軸に進化の過程で多様化してきた

原始的な無脊椎動物の中には食細胞しか持たない種もある。ホヤは我々と同じ脊索動物門に属し、我々の先祖に当たる。ホヤ以後の生物になると様々な種類の血液細胞が見られるようになる。これらの多様な血液細胞は食細胞を軸に進化してきたと考えている。

現行の養子免疫療法の問題点と汎用性他家T細胞による解決

CAR-T療法やTCR遺伝子導入療法などの養子免疫療法は有効性が示されている一方で、自家移植の系で行われているため、高くつく、時間がかかる、患者のT細胞の質に依存するので不安定、などの問題点があった。これらの障壁を乗り越えるために、我々はiPS 細胞技術を用いる戦略を進めている。