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DEPARTMENT OF Biosystems ScienceLab. of Mechanosensory Physiology

メカノセンシング生理学分野

教授 野々村 恵子 教授 Professor

野々村 恵子 
Keiko Nonomura

MESSAGE FROM THE LAB

メカノセンシング生理学分野へようこそ!
生体内の多くの臓器(例えば心臓や肺)が機能する際には、体積や圧力などの機械的な要素が適切に変動することが重要です。私たちの研究室では、このような機械的な要素の変動を検出する機械受容(メカノセンシング)の分子機構であるPIEZOチャネルに着目し、生体臓器の機能、発生、病態におけるメカノセンシングの寄与とそのメカニズムの解明を進めています。

MEMBER

教授
野々村 恵子
Keiko Nonomura
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RESEARCH

生体組織は「力を感じて」機能する

メカノセンシング(機械受容)とは、細胞に伸展や液流などの機械的な力が作用した際に、特定の分子機構を介して細胞が検出することを意味します。体を構成するほとんどの臓器・組織はその機能や恒常性に関係する特徴的な機械的な要素(細胞の足場である組織の硬さや血液など液体の流れなど)に晒されていいます。「このような機械的な要素を生体組織が検出し、適切に応答することで生体組織はその機能を発現しているのではないか?」と想定されます。メカノセンシング生理学分野ではこの仮説を実験的に検証すべく、メカノセンサーチャネルPIEZOに着目し、PIEZO遺伝子改変マウスの解析や培養細胞やオルガノイド、組織に対する機械的な要素を操作した際の応答の解析を行っています。

 

私たちの研究グループではこのようなユニークな機能と構造を持つPIEZOチャネルに着目し、生体内の組織や臓器におけるメカノセンシングの役割を解明してきました。例えば、PIEZO2を発現する感覚神経が肺にも投射しており、これにより吸気の際の肺の体積増加を検出し、吸気による肺の体積の過度な増加を防ぐことを明らかにしました。また、哺乳類の新生児は生まれた直後から呼吸を開始し、空気中の酸素を自発的に取り込み始める必要がありますが、PIEZO2はこのような新生児の正常な呼吸パターンにも必要であることがわかりました。

PIEZOは感覚神経以外の細胞においても発現しています。老廃物を含む体液の移動の経路であるリンパ管ではPIEZO1が発現しており、これがリンパ液の逆流を防ぐ構造である弁の形成に必要であることも明らかになりました。また、脳を構成する細胞においてPIEZOをはじめとするメカノセンサー分子の機能を研究しています。

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