2024年9月24日 クライオ電子顕微鏡による小胞型モノアミン輸送体の分子基盤解明―シナプス小胞における神経伝達物質の輸送機構を可視化― |
林到炫(イム ドヒョン) 医学研究科助教、Mika Jormakka 同特定准教授、浅田秀基 同特定准教授、岩田想 同教授(兼:理化学研究所グループディレクター)の研究グループは、野田岳志 医生物学研究所教授、杉田征彦 白眉センター/医生物学研究所准教授、樹下成信 岡山大学助教、宮地孝明 同研究教授、加藤貴之 大阪大学教授、岸川淳一 京都工芸繊維大学准教授らとの共同研究により、ヒト由来小胞型モノアミントランスポーター2(VMAT2)の立体構造を、クライオ電子顕微鏡法(cryo-EM)を用いて解明することに成功しました。VMAT2は、ドパミンなどの神経伝達物質をシナプス小胞に輸送する重要な膜タンパク質であることから、精神疾患や神経変性疾患に関わる治療薬の標的分子とされています。本研究では、VMAT2の立体構造をアポ状態、ドパミン結合状態、阻害薬テトラベナジン結合状態の3つの状態で明らかにし、VMAT2の基質輸送機構および阻害薬による阻害機構を理解することができました。ドパミンの結合部位やプロトン結合推定部位の情報は、新薬開発において特に重要であり、精神疾患や運動障害に対する新しい治療法の創出が期待されます。
本研究成果は、2024年9月16日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
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