2024年12月3日 新型コロナウイルスの増殖に重要な宿主細胞機能を解明 |
野田岳志 教授、平林愛 特定研究員、村本裕紀子 助教が豊岡公徳 上級技師(理化学研究所)および野村紀通 准教授(京都大学大学院医学研究科)らと行った共同研究成果が「mBio」に掲載されました。
新型コロナウイルスは細胞内で増殖する際、小胞体とゴルジ体の中間に存在し袋状の構造を持つ小胞小管クラスター(ERGIC)で子孫ウイルス粒子を形成します。ERGIC膜上で形成された子孫ウイルス粒子は、その内腔へと出芽し、小胞によって細胞表面へと輸送された後、細胞外へと放出されます。しかし、子孫ウイルス粒子の小胞輸送のメカニズムについてはこれまでほとんど明らかにされていませんでした。
本研究では、さまざまな電子顕微鏡法を用いて、子孫ウイルス輸送小胞にCoatomer complex I(COPI複合体)が結合していることを発見しました。さらに、感染細胞のCOPI複合体の機能を阻害すると、ERGIC内腔に子孫ウイルス粒子が滞留し、子孫ウイルスの細胞外への放出が著しく減少することがわかりました。したがって、ERGICから子孫ウイルスを小胞輸送する際にCOPI複合体が必須の役割を担っていることが明らかになりました。本研究成果は、COPI複合体を標的とした新型コロナウイルスの創薬開発に大きく貢献することが期待されます。
詳細は京都大学のHPをご覧ください。