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2026年10月1日
クライオ電子顕微鏡解析によって明らかになった二成分毒素ポアの段階的成熟機構

Step-by-step maturation mechanism of the binary toxin pore revealed by cryo-EM analysis

山田等仁1、中西蓮1、杉田征彦2,3、二宮優季1、吉田徹1、野田岳志2,3、津下英明1
(1京都産業大学生命科学部、2京都大学医生物学研究所微細構造ウイルス学分野、3京都大学医生物学研究所感染症研究センター超分子構造学分野)

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) (2026)

DOI: https://doi.org/10.1073/pnas.2627537123

概要

杉田征彦准教授、野田岳志教授は、京都産業大学の山田等仁客員研究員と津下英明教授らのグループとの共同研究により、細菌毒素が細胞膜に孔(ポア)を開ける過程の構造変化を明らかにしました。本研究では、ウェルシュ菌イオタ毒素の膜結合成分 Ib が放射状に集合した超複合体(Ib ロゼッタ)を手がかりに、通常は一過性で捉えることが難しいポア形成途中の構造を連続した多型として可視化し、7 個の Ib 分子が隣り合う分子へ順番に構造を変えるドミノ倒しのような段階的成熟機構を明らかにしました。

 

詳細は京都大学のホームページをご覧ください。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-09-30

 

なお、本研究の一部は、京都大学医生物学研究所「ウイルス・幹細胞システム医生物学共同研究拠点」の支援を受けて実施されました。

 

【研究者コメント】

細菌毒素の研究を長く積み重ねてこられた津下先生・山田先生のグループの知見があってこそ、Ib ロゼッタという予想外の産物が、これまで捉えられていなかった現象の発見への突破口になったのだと思います。放射状に集まった姿は、古くから知られるインフルエンザウイルスの膜タンパク質が作る HA ロゼッタを思わせるもので、名前もそこから取っていただきました。古くから微生物学としてともに発展してきた細菌学とウイルス学、その専門家が、医生物学研究所の施設でクライオ電子顕微鏡という共通の技術を駆使して形にできたことを嬉しく思います(杉田・野田)。

図: 段階的な成熟を示すと考えられる、ウェルシュ菌イオタ毒素の膜結合成分 Ib の一連の構造。左から 8 種類のプレポアと完成したポア構造