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2026年9月25日
【ウイルス学の潮流セミナー2026】野生動物から探るRNA ウイルスの進化的ホットスポット
日時: 2026年9月25日(金)
場所: 医生研3号館3階セミナー室(312室)
演者: 高田 光輔 博士
シドニー大学 リサーチフェロー
大阪大学 微生物病研究所 招へい教員
演題: 野生動物から探るRNA ウイルスの進化的ホットスポット

講演要旨

RNA ウイルスは、高い変異率と適応能力を特徴とし、多様な宿主と共存することもあれば、時に、宿主域を
拡大して新たな感染症を引き起こすこともある。その進化は無制限ではなく、ゲノムサイズ、複製機構、宿
主との関係など、各ウイルスが持つゲノム上の制約を受けている。したがって、RNA ウイルスがどのような
制約のもとで新たな遺伝子や機能を獲得するのかを明らかにすることは、RNA ウイルス進化の基本原理を理
解するだけでなく、将来どのようなウイルスが出現し得るのかを予測するうえでも重要である。
我々は、動物由来のRNA ウイルスゲノムを比較し、ゲノムサイズの多様性が進化的道筋(系統)とその宿主
要因の双方によって規定されていることを明らかにした。この結果は、ゲノムサイズが新たな機能の獲得を
制約する一方で、特定の系統では新たな機能の進化を可能にする基盤となり得ることを示唆している。さら
に、野生動物由来の新規RNA ウイルスを探索・解析する過程で、コロナウイルスの表面蛋白質のフリン開裂
モチーフや、ピコルナウイルスの上流オープンリーディングフレーム(uORF)のような機能エレメントが、
独立した複数系統において繰り返し出現していることが明らかとなった。これらの知見は、新たな機能が反
復して生じやすい「進化的ホットスポット」が、RNA ウイルスゲノム内に存在する可能性を示唆している。
現在我々は、新規RNA ウイルスの探索、ゲノム進化解析および機能検証実験を統合することにより、どのゲ
ノム領域で新たな機能を獲得しうるか、また、それらがどのような進化的・宿主環境下で維持されるのかを
明らかにしようとしている。本発表では、RNA ウイルスゲノムを規定する系統的制約から、野生動物におけ
る新規RNA ウイルスの同定、「進化的ホットスポット」の発見と機能検証に至る一連の研究を紹介する。(講演言語:日本語/Language:Japanese)

ウイルスの潮流セミナー2026(高田光博 博士)

主催:JSPS 研究拠点形成事業Core-to-Core Program
   「ウイルスの二面性の理解・活用のための国際研究拠点形成」
   共同利用・共同拠点「ウイルス・幹細胞システム医生物学共同研究拠点」

世話人:京都大学医生物学研究所 微細構造ウイルス学分野
    野田 岳志