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2026年11月4日
【第3回老化感染制御学セミナー】マラリア原虫に最適化したゲノム編集法の開発と、ヒト iPS 細胞を用いた ヒトマラリア原虫肝細胞寄生完全再現系への展開
日時: 2026年11月4日(水)13:00~14:00
場所: 医薬系総合研究棟2 階 講義室A(薬学研究科)
https://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/access/campus/
演者: 新澤 直明
東京科学大学大学院 医歯学総合研究科
寄生虫学・熱帯医学分野 講師
演題: マラリア原虫に最適化したゲノム編集法の開発と、
ヒト iPS 細胞を用いた ヒトマラリア原虫肝細胞寄生完全再現系への展開

講演要旨

マラリアは年間約 60 万人の死者を出す、依然として最も深刻な感染症の一つである。原
因病原体である Plasmodium 属マラリア原虫は、肝細胞・赤血球・媒介蚊の消化管および唾
液腺と寄生する宿主細胞を変え、多様な形態と増殖様式によってヒトと蚊の二種類の宿主に
適応しており、その生活環の分子基盤の解明は新たな対策開発の基礎となる。
しかし、マラリア原虫の遺伝学的解析は、AT 含量の高いゲノム、限られた選択マーカー、
低い形質転換効率といった制約を受けてきた。我々は線状化ドナー DNA を用いた原虫に最
適化したゲノム編集法を独自に開発し、標的遺伝子の破壊・相補、レポーター遺伝子ノック
イン、異種抗原への置換までを、げっ歯類感染原虫 Plasmodium berghei およびヒトマラリア
原虫 P. falciparum において効率的に行える体制を整えた。本法により作出した蛍光・発光の
各種レポーター原虫やキメラ原虫は新規ワクチン候補抗体のスクリーニングに活用できる。
この技術基盤を元に、これまで手が付けられなかったヒトマラリア原虫の肝細胞寄生の解
析に着手した。まず mCherry を恒常発現する原虫を作出し、生活環全体の可視化に成功した。
ヒト iPS 細胞由来肝細胞の技術を取り入れることで、肝細胞侵入から細胞内発育、赤血球感
染までを一連の過程として、ヒト肝臓を介することなくin vitroで再現する系を確立した。こ
の完全再現系により、ヒトマラリア原虫の肝細胞感染機構に関与する原虫側・宿主側因子の
同定ができれば、マラリアの新規予防薬開発への重要な知見が得られることが期待される。
本セミナーでは、ゲノム編集法の開発経緯と肝細胞期解析の現状を述べ、ヒトマラリア原
虫の肝細胞感染機構の全貌解明への展望を議論したい。

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HOST:
医生物学研究所
老化感染制御学分野 中台枝里子
Eriko Kage-Nakadai, nakadai[@]infront.kyoto-u.ac.jp