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2026年4月24日
分泌型IgAの多量体化は、A型インフルエンザウイルス粒子を凝集させることで抗ウイルス活性を増強する

山内康司1,2、村本裕紀子1,2、藤田(藤春)陽子1,2、平林愛2、野上千華1,2、石田大空1,2、杉田征彦1,2、斎藤慎二3,4、佐野芳3,5、鈴木忠樹3,6、中野雅博1,2、野田岳志1,2,7

1 京都大学大学院生命科学研究科微細構造ウイルス学分野
2 京都大学医生物学研究所微細構造ウイルス学分野
3 国立感染症研究所感染病理部
4 北海道大学 総合イノベーション創発機構 ワクチン研究開発拠点 生体応答解析部門
5 国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 インフルエンザ研究センター 第4室
6 千葉大学大学院医学院研究院 感染病態学
7 京都大学アイセムス 物質-細胞統合システム拠点

Multimerization of secretory IgA enhances antiviral activity by aggregating influenza A virus particles

Communications Biology, 2026 Apr 15.  doi: 10.1038/s42003-026-09783-9

概要

分泌型IgAは、二量体や三量体、四量体といった多量体として粘膜上皮に存在し、生体防御において中心的な役割を担っています。これまで、さまざまなウイルスに対して多量体IgAは単量体IgAと比較して高い中和活性を示すことが報告されてきました。しかし、多量体IgAが高い中和活性を発揮する分子機構や、ヒトにおけるIgAサブクラス(IgA1およびIgA2)の機能的な違いについては、十分には明らかにされていませんでした。

本研究では、多量体IgAが近接するインフルエンザウイルス粒子同士を架橋して凝集体を形成することで、ウイルスの細胞侵入を阻害するだけでなく、子孫ウイルスの放出も抑制し、高い中和活性を発揮することを明らかにしました。さらに、IgA1とIgA2の機能を比較した結果、IgA2はIgA1に比べてウイルスをより効率的に凝集させる性質を有すること、単量体においても凝集活性を有することが示されました。

これらの成果は、分泌型多量体IgAによるウイルス中和機構の理解を深めるとともに、IgAサブクラス間の機能的差異の解明に寄与するものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図:多量体IgAにより凝集したインフルエンザウイルス粒子のクライオ電子線トモグラフィ像