| 2026年10月22日 細胞の形に残る「分裂の記憶」を読み解く―植物組織の細胞壁染色から、直近の細胞分裂を高精度に推測する手法― |
Inferring cell division from cell shape
Zining Wang, Yujie Zhao, Hokuto Nakayama, Gorou Horiguchi, Yasuhiro Inoue, Atsushi Mochizuki, and Hirokazu Tsukaya
The Plant Cell (2026)
概要
植物は細胞の位置が移動しないので、どの細胞がどの方向に分裂したかは、器官の形を作り上げるうえで非常に大事です。しかしその分裂方向の分析には、多大な時間と実験条件の検討が必要でした。数理生物学分野の望月敦史教授は、東京大学大学院理学系研究科の塚谷裕一教授、京都大学大学院工学研究科の井上康博教授、立教大学の堀口吾朗教授らとの共同研究により、植物細胞の形に残る「分裂の記憶」を使って、たった1枚の顕微鏡写真から直近の細胞分裂を多数・高精度に推測する手法を開発しました。
シロイヌナズナ葉原基の細胞分裂の様子を記録したライブイメージングを正解データとして、7,573組の隣接する細胞について49種類の形状特徴を解析した結果、娘細胞ペアが共有する細胞壁の両端に現れる「接合角度」が、分裂推測に最も有効であることがわかりました。とくに、平均接合角度145°以上を基準とすると、適合率94.1%、再現率92.5%を示します。この手法を茎頂分裂組織に応用したところ、こちらでも、適合率98.4%、再現率97.2%の高い性能が発揮されました。
本研究は、細胞形状から直近の細胞分裂を推測する手法の精度を、ライブイメージング由来の正解データを用いて世界で初めて定量的に検証したものです。さらに、変異体や非モデル植物への応用可能性を示し、誰でも利用できる解析ソフトウェアを公開しました。
本成果は、国際学術誌『The Plant Cell』オンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容については、下記をご覧ください。
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-10-16

図1:細胞の形から直近の細胞分裂を推測する
